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Column

会社に属さず、3社の戦略を支える──業務委託CMOという選択

「ひとつのブランドに深く関わるのも好き。でも、“複数の現場”を横断して考える方が、私にはしっくりきたんです」

山本美咲さん(仮名・42歳)は、現在3社の企業と業務委託契約を結び、CMO(Chief Marketing Officer)としてマーケティング戦略を支援している。フルタイムで働くわけではなく、週にそれぞれ1~1.5日の稼働。それでも、いずれの企業でも「ブランドをどう育てていくか」という議論の中心にいる。

地方企業や中小スタートアップにとって、フルタイムでCMOを雇用するのは難しい。だからこそ、「必要なときに、必要なだけ」プロの視点を借りられる業務委託の形が、今じわじわと広がっている。

マスマーケから、地域の“らしさ”を伝えるマーケティングへ

山本さんのキャリアは、大手消費財メーカーでのブランド部門から始まった。大量のテレビCM、全国展開のキャンペーン、その後は外資系デジタルエージェンシーでSNS戦略やD2Cの支援に携わった。

「でも、どこかで“誰のためにやってるんだろう”と疑問を感じていたんです。規模やリーチを追うより、本当に良いものをつくっている人たちと一緒に、丁寧に伝えていく仕事がしたい。そう思うようになって、地方企業の支援に関わるようになりました」

現在、山本さんが業務委託で関わっているのは──

  • 地方の特産品を扱うECスタートアップ(北陸地方)
  • 教育系のEdTech企業(関西圏)
  • HR領域のSaaS企業(関東地方)

いずれも成長期にあるスタートアップだが、事業フェーズも対象顧客もまったく異なる。

「特産品ECの会社では、“どんな風に食べてほしいか”まで伝えられるブランド設計をしています。単なる“ご当地グルメ”ではなく、土地の文化や人の暮らしが感じられるような世界観をどう描くか。そういうブランドづくりにこそ、マーケティングの醍醐味があると思っています」

地方にいるチームと、Slackで“並走”する

稼働は原則すべてリモート。SlackやLINE Worksを活用しながら、地方にいるメンバーと日常的にコミュニケーションをとっている。

「地方の企業って、“表現すること”にあまり慣れていないケースも多いんです。でも、だからこそマーケターとして介在価値がある。商品の良さを“伝わる言葉”に変えること。それが私の役割だと思っています」

会議は週1回、あとは非同期でやりとり。移動を伴わないことで複数社に関われるだけでなく、相手企業側もコスト負担を抑えつつ、高度な戦略支援を受けられている。

「地方×業務委託って、相性がいいんです。物理的な距離を埋めるために“目的の共有”を丁寧にしないといけない分、逆に信頼関係が強くなる。よそ者だからこそ言えることもあるし、聞いてもらえることもあります」

「チームの一員になる」の定義を変える

週1〜1.5日の関与では、“本当にチームの一員になれるのか?”という疑問の声もある。

「たしかに、常勤のように物理的にずっと一緒にいるわけではありません。でも、“必要なときに必ず返ってくる人”であることはできる。私は、どの企業に対しても“気にかけている存在”でありたいと思っています」

ある企業では、チャットのやり取りだけで社員から“外の人だと忘れてた”と言われるほど自然に溶け込んでいたという。

「チームって、頻度じゃなくて信頼だと思うんです。週に1回しか顔を出さなくても、“この人なら大丈夫”と思ってもらえれば、それはもうチームなんですよね」

複数社に関わることで、視点が広がる

マーケターとしてのスキル以上に、「視点の柔軟さ」が今の働き方には不可欠だと山本さんは語る。

「地方ECとBtoB SaaSでは、言葉も流通もまったく違います。でも、ブランドが人にどう届くかという視点では共通点もある。複数社に関わっていると、“この考え方、あっちにも使えるかも”という気づきが自然と生まれるんです」

業務委託だからこそ、企業に深く入りすぎずに「鳥の目」で全体を見ることもできる。

「“少し離れた場所から本質を見抜く”というのも、業務委託CMOだからこそできる価値だと思っています」

自分のリズムで、でも本気で

山本さんは、週に3~4日だけ働き、残りの時間は家庭や趣味、地域活動にあてているという。

「誰かのブランドを支えるには、自分自身がちゃんと整っていることが大事。自分の時間を大切にできるからこそ、人にも優しくなれるし、長く働き続けられる。それがこの働き方の一番の魅力です」

業務委託でも、“甘え”は一切ないという。
むしろ「限られた時間で成果を出す」ことが、プロとしての姿勢を磨いてくれる。

あなたの「問いかけ」が、地域のブランドを動かすかもしれません

地方で奮闘する中小企業やスタートアップは、いま“想いはあるが、伝え方がわからない”という壁に直面しています。

あなたのマーケティング経験、視点、問いかけが──
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